よくある質問

○修理が必要な掛軸とは?
本紙(作品)に絵の具の剥落が見られたり、破れや汚れ、染みなどがあるものです。
また裂地など本紙周囲の表具部分に破れや汚れが見られるものも、修理の対象となります。見た目には小さく見える破れでも、放っておくと致命的な傷みとなって鑑賞に耐えない状態となる危険性があります。大切にされているお軸に気にかかる箇所があるようでしたら、まずはご相談ください。長年の経験に基づいて修理の要・不要を検討させていただきます。保管の状態にもよりますが、一般に50年を経過した掛軸には、何らかの修理が必要といわれています。

○修理にかかる費用や時間について知りたいのですが。
1日ほどで処理できる簡単な虫喰い修理やしみ抜きもあれば、非常に困難な修理で長く 日数がかかる場合もありますので、傷みの種類や程度によってさまざまです。
いずれの場合でも掛軸は改装が必要で、表装を仕立て直すことになりますので、完成ま で最低1カ月はみていただきますようお願いします。長くかかるもので3カ月前後です。
難度の高い修理の場合は修理そのものを行うかどうかも含めて、事前にご相談させてい ただきます。

○一般的な絵画や書などを掛軸や額装に仕立てる際の料金は?
軸装の場合は、その書や絵の内容や使用される目的によって形式や裂地の種類などが、 自ずと決められる場合があります。例えば名号や仏画などは仏表装の形式で、裂地は金  襴や綾など重厚な趣のものを用います。墨跡など茶席に用いられるものは、やや軽い趣 の取り合わせや紙表具などに仕立てます。これらはほぼ料金の目安が付けやすいのです  が、季節ごとに掛け替えて楽しまれる書画の場合は、さまざまな裂地から本紙に応じた 色柄のものを用いるため、軸装・額装ともに料金はまちまちです。

○あらかじめ予算を決めてから表装を依頼することはできますか?
表装の仕立てそのものの手間や材料を省くことはできませんので、使用する裂地や軸 先、額装の場合は外椽(そとぶち)の素材などで調整することになります。ご予算の  範囲内で引き立ての良い取り合わせや素材を吟味してご提案させていただきます。

○表具部分だけをそのまま使用して、本紙を取り替えることはできますか?
「巣嵌(すばめ)」「巣づかい」などと呼ばれる伝統的な技法です。ただ相当な技術と 時間を要する作業ですので、まずは実際に拝見した上で、ご相談させていただければ  幸いです。

○手持ちの裂地を使ってもらえますか?
もちろんお使いいただけます。ただし素材や厚み・織りなど表装を仕立てるのに不具合が生じるような裂地は使用できません。またほかの裂地との取り合わせが困難な場合もありますので、そうした問題がクリアできれば使用することができます。

○北岡技芳堂ならではの特長や特典は?
表装技術につきましては軸装の仕立ての丁寧さ、仕上がりのやわらかさ、裂地などの取り合わせや額装設計におけるセンス…といったことになろうかと思います。表具発達の中心地、京都で培った京表具ならではの技術と感覚を自負しております。
当店および当主・北岡英芳について詳しくは、下のサイトをご覧ください。
http://techon.nikkeibp.co.jp/column/wazanokokoro

また名古屋のギャラリー「北岡技芳堂」は、当店の兄弟店です。絵画・美術品・茶道具・骨董品の売買に50余年の実績を誇っておりますので、お手持ちの書画の鑑定や売却を前提とした表装などについても、お気軽にご相談いただけます。
ギャラリー北岡技芳堂のサイトはこちらです。
http://www.gihodo.jp/index.html

○掛軸の掛け方や扱う時の留意点は?
一般には次のようなことが挙げられます。
※床の間、掛ける場所
湿気の多い所や冷暖房の風が強く当たったり直射日光が当たる場所には掛けない。 ※扱い方
・湿気の多い場所では扱わない。
・ 清潔な手で丁寧に扱う。
・ とくに「折れ」が生じないように注意する。(「折れ」には必ず修理が必要)
・あまり堅く巻かず、適度にゆるやかに巻いて、紐もゆるく掛ける。
※掛けている間の注意事項
何日間も掛けたままにせず、時々は巻いて軸箱に納める。


○掛軸はどのように保管するのがいいのでしょうか?
軸の寸法に合った桐箱や紙箱におさめて、湿気の少ない場所に保管してください。
※しまう時の注意事項
・湿気の少ない晴天日に行う。
・軽く毛ばけなどで風を送って、掛軸の表面のチリや埃を落とす。
・堅く巻き上げず、適度にゆるく巻いて、紐もゆるめに掛ける。
※保管している間の注意事項
年に2回程度、春と秋の晴れた日に虫干しをする。


○京表具とはどんなものか、見る機会がありますか?
京都では毎年12月の第1金曜~日曜の3日間、京都文化博物館において京都表装協会 の主催の表装展覧会「表展」が開かれています。また東京では、3月の5日・6日の 2日間、東京美術倶楽部において京表具協同組合連合会による「京表具展」が開催さ れています。いずれの展覧会でも京表具伝統工芸士による作品解説がありますし、会  場では現役の京表具師が質問や相談にこたえます。(両展とも無料)


○表具師になりたいのですが…
職人修業は本来、師匠のもとで研鑽を積むのが一番でしょう。伝統産業のなかでは、 表具師はさほど後継者不足ではないと聞きますが、歴史ある高度な技術を次代へ引き  継ぐためにも、優秀な人材が多く集まって互いに切磋琢磨することは望ましいことで す。中でも京都の土地柄は表具技術の習得には最も適した場所だと言えるでしょう。  上記項目の京表具展などで自分の好きな表具作品を見付けて、それを仕立てた表具師 に話をしてみるなど、扉を叩いてみることをお勧めします。